理科生物系の大学院生であれば答えられないと恥ずかしい問題

 研究指導されているボスからこんな問題を出された。ほとんど答えられなくて、「おいおい、大丈夫か??」みたいな顔されてしまった。しかし、これ何気に難しいんじゃないだろうか?もうほんとにどっぷりつかっているような"もろ"生物系の院生ならば簡単かもしれないが、片手間に実験やっているようななんちゃって大学院生の状態だと難しい。でもいかにもできないと恥ずかしいような問題なので、人を嵌めるには言い問題かもしれない。「ちょ、ちょっと、これ知らないとやばいですよ。はは、」みたいに。
 では問題。
 1.人間の細胞の数は?DNAの塩基数は?
 2.ゲノムとは?遺伝子とは?遺伝子の数はどれくらいか?コーディング領域はどれくらいの割合か?
 3.codonとは?セントラルドグマとは?
 4.germline mutationとsomatic mutationの違いは?
 5.変異とSNPの違いは?



 答え:
 1.人間の細胞の数は60兆個。DNAの塩基対数は30億。
 2.ゲノムとはある生物の持つすべての遺伝情報としており、ミトコンドリアDNAと染色体DNAを合わせたものである。遺伝子とはタンパク質の情報に対応する転写産物(mRNA)の情報が書き込まれている核酸分子上のある長さをもった特定の領域である。遺伝子の数は当初10万ぐらいと予想されていたが、現在では2万2000個ぐらいとされている。コーディング領域は人間ではわずかに2%ぐらい。一方酵母などの単純な生物では70%ぐらいがコーディング領域である。
 3.codonとは核酸塩基配列がタンパク質を構成するアミノ酸配列へと生体内で翻訳されるときの、各アミノ酸に対応する3つの塩基配列のことで、特にmRNA塩基配列をさす。セントラルドグマとは、遺伝情報がDNA→複製→DNA→転写→RNA→翻訳→タンパク質の順に伝達されると主張する概念。
 4. germline mutation 生殖細胞変異は遺伝子の変異がgerm cell生殖細胞に存在し、世代から世代へ受け継がれていく者である。一方、somatic mutationは後天的な変異であり、一つ一つの細胞のDNAの中で起こり、変異が起こった細胞に由来する細胞のみに受け継がれることである。
 5.突然変異とSNPの違いは
 人の遺伝子は99.9%は人同士で同じ配列になっているが、故人により塩基配列日外があることが明らかになってきた。この違いを遺伝子多型と呼び、さらにその中でも一つの塩基が別の違う塩基に置き換わっているものを一塩基多型:SNPという。この遺伝子多型の定義として全体の中の1%以上の人がそれをもっているという定義があり、特殊な人だけに稀に見つかった変異は多型ではなく突然変異と呼ばれる。(とはいえ、SNPも元はと言えば祖先の突然変異(一般にはgermline mutation)に端を発している朋考えられる。)

答えられましたか?